道場長のうんちく ③
抜きつけ、振りおろし
刀或いは木刀を何百回も何前回も振ればそりゃあ腰やら腕はそのうちに安定した位置が分かるように
なるでしょうが、ただ単に繰返せば良い訳ではありません。師範や先輩に理屈とコツを教わりながら刀
(木刀)と体が一体になるように振り続けます。
流派によっては振り出しの「最初の位置」が違うでしょうし、収める位置も違います。流派だけでなく、おそらく
先生に寄っても違う事も多いです。連盟が変われば(全く)違うものにもなります。
抜きつけは当流派では右手に45度くらいの角度まで切りつけます。その後切っ先を左に回しながら
両腕を開いて鍔を髷の後ろの位置に構えて振りおろします。(実はココに奥儀が在ります。)
切りおろし(振りおろし)は頭上に構えた刀(木刀)を相手に向かい切り下ろすのですが、相手に至る
ところで掌中を締め、(当然肘、肩は柔らかくして)切り下ろします。腰から上の上半身は腰を軸にした
鞭のようにしなり、背筋は切っ先の行方を強める「反り」の動きをします。
下半身ですが、上体の左右のひねりに応じて柔らかくねじり、両腕の上下に応じて膝がクッションします。
血ぶるい、納刀
血ぶるいは、侍として戦った相手を慮り、止めの必要を確かめ、場面に応じて横、または下方に血ぶるいします。
その後、敵に惻隠の情をもって刀を納刀します。又次の敵或いは事態に備えます。
目付
常に敵を意識し、着座の折も歩行中の折も丹田に気を入れて(しかし体は力を抜いて)目は観の目にて敵を見
ていなければいけません。
呼吸
呼吸ですが、大きくゆっくりとする訓練が必要です。腹式呼吸法なんですが、人間は吸う時に力は入りません。
また、吐くときも一度で大きく吐くと次につながりません。動く時、クモの糸を吐くように静かにすこしずつ。
また、敵と刀を合せる刹那に呼吸法を遣えば敵の力を抜くことができます。
足の向きですが
英信流では前敵と対峙する時は(両足)共敵に向けます。つまり、臍と足とは同じ方を向きます。
どうして?でしょうか。他の剣術とか合気道とかとは足の向ける方向も臍の向ける方向も違います。